少し押し込むCF挿入法
   

左側臥位
で検査をはじめます。
肛門および肛門管にキシロカインゼリーを塗布します。
CFの先端から10cm位のところを持って検査をはじめます。
肛門管
肛門の開口部に、CFの先端を押しつけ、送気すると進行方向が見えるので、その方向にCFをゆっくりと進めます。送気をためらうと、直腸に入ったとき、進行方向が全くわかりません。
直腸に先端部が入ってから、CFの50cmの目盛り位のところまで潤滑油を十分塗布します。
潤滑油を塗っていない50cmの目盛りの手前のところをガーゼで巻き、右手で保持します。
CFのあまり先端近くを持つと、CFを押す力が強すぎて、腸管の過伸展の原因になります。ガーゼは、潤滑油による滑りを止めるために使用します。
直腸
肛門管から直腸にはいると、左側臥位なので、進行方向の90度左方向(直腸は仙骨にそって上行します)に管空が見えます。ファイバーを左に約90度ひねると、12時方向が患者さんの背部になります。そのまま見える方向にCFを押し進めます。
このときに、左90度のひねりを忘れると、CFはあらぬ方向(直腸の進行方向と異なる方向)へ進みますので、軽く左にひねりながら押し進めて下さい。そうするとRsの曲がりに達します。
送気をためらうと進行方向がわかりませんので、ヒューストン弁とRsの曲がりの区別がつきません。ヒューストン弁とRsの曲がりの区別がつくくらい送気して下さい。もちろん無駄な送気は禁止です。特に初心者は、送気が足りないのか視野の確保ができていないのかの区別がつきにくいので注意して下さい。
直腸S部(Rs)からS状結腸へ
ここは、腸管を過伸展させなくてもS状結腸に入れる場合もありますが、定型的な方法は、過進展させる方法です。
CFを、ハウストラの曲がりの中心にCFの12時方向が向くようにひねって、少しupアングルをかけながらゆっくり押し進めて(胃ファイバーが胃角部を曲がってゆくような感じで)ゆきます。この時CFは、胃のところを押し上げますので、患者さんは、違和感を上腹部に感じます。
この曲がりを曲がった後に、管空が見えてきますが、CFを押し進めると、一端近づいた管空が、遠ざかるようになります。
そのまま押し続けると痛みが強いので、ここで一端、アングルをかけたままCFが曲がり角を抜けてしまう直前まで引き戻します。同時に管空が確保できるくらいまですこしづつ空気を吸引します。この操作で、直腸の余分な空気がなくなります。
この後で、ゆっくりとCFを押し進め、アングルを少し戻しながら軽く左にひねって、肝臓の下縁でファイバ−をまげてS状結腸に入ってゆきます。
S状結腸
おそらく、S状結腸の管空が少し長く見えてきていると思います。ここですぐに管空の曲がりが見える場合は、もう一度RsからSまでの操作を繰り返します。
長く見えている管空を、アングルを戻しながらCFを押し進めます。中間点で止まって、体位変換(仰臥位)にします。このことにより、直腸の空気が、S状結腸に移動しますので、直腸の余分な空気を抜くために、管空が確保できるぎりぎり程度に、空気を吸引します。
 CFを押し進めると、先端がSD接合部にきます。

ここで右側臥位にします。このことにより、S状結腸の肛門側の空気が下行結腸に移動し、SDが展開しやすくなります。空気の抜けた腸管は、直線化しやすくたわみにくくなりますので、S状結腸の肛門側がたわみにくくなります。
SD接合部から下行結腸へ
 少し送気(SD接合部に隙間ができるくらいに)して視野を確保します。SD接合部のハウストラの胃角の小わん側の様に見える方向にCFの12時方向がくるようにCFをひねって、upアングルをかけてCFをゆっくりと押します。下行結腸の管空が見えてきます。
 ここで軽く右にひねりながら、ゆっくりとファイバーを抜き戻します。このときに、管空が確保できるぎりぎりまで、空気をゆっくりと吸引します。これがいわゆるright−turn−shorteningですが、右にトルクをかけるだけでなく、右側臥位にし空気の吸引をすることがこつです。どちらの操作も、S状結腸の肛門側の空気をなくして、S状結腸をたわみにくくします。また、CFを抜く速度が速いと、CFが抜けてしまいますので、ゆっくり操作をして下さい。
ゆっくり抜いてゆくと、急に管空が近づきはじめます。この時、引き抜く速度をさらにゆっくりにしてください。管空が確保しにくくなりますので、上下左右アングルを総動員して、管空を確保します。ファイバーのひねりを、大きく調整するとCFは抜けてしまいますので、右ひねりの基本操作は下行結腸に完全に入るまで忘れずにいて下さい。
急速に近づいていた管空が、ゆっくり近づくようになり、再び遠ざかるようになる直前から、CFを押しはじめます。この時もまだ右ひねりです。
そうすると、下行結腸へCFは進みます。CFを押すと管空が遠ざかるときは、もう一度少し引き戻してSD接合部を曲がる操作をするか、右へのひねりを強くして押すかで解決できると思います。
脾彎曲まで来たら、右ひねりを戻し、少し引き抜くと、肛門縁は、CFの40cmの線前後にあると思います。
脾彎曲から横行結腸へ
脾彎曲が判る程度に送気して、胃角を曲がるときのように、CFに少し右方向にトルクをかけ、押しながら脾彎曲を曲がります。
横行結腸が見えてきますが、この時、脾彎曲に先端をかけたまま、軽く引き戻して、視野が見えなくなる直前まで、空気を吸引します。このことにより、S状結腸の余分な空気が抜け、S状結腸がたわみにくくなります。
この操作が終わってから、脾彎曲部が開くまで、再びゆっくり送気します。
その後、患者さんに、深吸気をしてもらい、横隔膜を足側に押し下げ、肝彎曲の曲がりを鈍角にして、同時に横隔膜によってCFの曲がり部を足方向に押してもらいます。そうしながら右方向のひねりを加えたままCFを押すと、脾彎曲をゆっくりと曲がって行けます。送気は、腸管空が確保できる最小限にします。
横行結腸の垂れ込みから肝彎曲へ
そのまま押してゆくと、先端が、横行結腸のたれ込みに来ます。これは、送気しても腸管空が開きにくい事で判ります。
ここで、体位を仰臥位にします。そうすると空気の再分布がおき、脾彎曲近くに集まっていた空気が、横行結腸の中央部付近に集まってきます。垂れ込み部が、胃角部と同じように見えるように、CFのひねりを調整します。
次に、CFにUPアングルをかけながら少し押して、横行結腸の肝彎曲部が見上げられる様にします。
ここで左側臥位にします。そうすると横行結腸中央部にあった空気が、肝彎曲部へ移動します。このことにより、横行結腸の左半分は少し短縮されます。
さらに、CFを左にひねりながら、腸管空が確保できるくらいまで、ゆっくりと空気を抜きながらCFを引き戻します。
そうすると、横行結腸中央部の空気がはじめに抜けて、この部位が短縮され、さらに、脊椎がテコの支点のようになって、CFが脊椎に沿って頭側へ滑り上がり、横行結腸中央部が頭側へ持ち上がり短縮され、急速に肝彎曲が近づいてきます。ゆっくり引き戻して、CFが抜けそうになってきたら、CFを左にひねりながらゆっくりと押します。肝彎曲に到達する前に右にひねると、CFは脊椎に沿って再び足側へおりて行き、腸管空が遠ざかってしまいます。

肝彎曲から上行結腸へ

CFの先端が肝彎曲部へ到達したら、少し送気してアングル操作で下行結腸の方向を見定め、CFを右にひねりながら押しますと、下行結腸に入ってゆきます。
患者さんに深吸気をしてもらいながらCFを押すと、CFは、盲腸まで到達します。
ここで仰臥位に戻します。
CFの9時方向に、バウヒン弁が見えますので、その開口部にCFを誘導し、左にひねりながらCFを押すと、回腸末端部へ入る事が出来ます。