ポイント2
腸管は本来のびるものではなく、そのままにしておくと縮む方向に張力がかかるものなんです。この性質を利用して、如何にうまく縮ませるかが、CF挿入のこつなんです。
それなのに、行け行け押せ押せの過伸展挿入法が一般的です。また、過伸展の大腸の中では、CFの操作性は、極端に悪くなりますので、ひねりながら押しては行けないと言うような間違った注意事項が一般に信じられてしまうのです。CFに回転をかけながら押してはいけないのでなく、大腸の過伸展がいけないのです。
ポイント3
CFの挿入時、左右アングルを使用してはいけないというのは嘘です。何のためにCFをひねるのかを理解できてないと、このような間違った教えになります。
CFをひねるのは、腸管を短縮するためであって、視野を確保するのは、アングル操作のなのです。これが、胃ファイバーの操作との最も大きな違いです。この違いを理解して操作すれば、胃ファイバーを十二指腸乳頭部まで挿入するのが容易になります。
また、CFは、単にupアングルをかけただけでは、CFの先端は180度程度しか、上向きになりませんが、upアングルをめいっぱいかけた状態で、左右アングルを使用すると、あらあら不思議、CFの先端は、180度以上曲がってしまうのです。この特性が、曲がりの難しい難所を乗り越えるのに必要なのです。
ポイント4
「大腸に空気を入れると、CFの挿入が難しくなる」事はありません。入れた空気は、必要がなければ吸引すればいいじゃないですか。「不必要な空気を吸引する方法を知らない人は、空気を入れすぎてはいけない」のであって、知っていればいくら空気を入れても良いのです。また、この不必要な空気を吸引する方法こそが、CF挿入の最大のコツなのです。もし「空気を入れると挿入できない」と教えられた時は、「挿入のコツは教えないぞ」と言われているのと同じです。
その他のポイント
1「送気は勢い良く、吸引は弱くソフトに」していますか。不要な空気を抜くためにも、大腸を短縮するためにも、この方法は絶対必要です。
2 潤滑油は十分塗っていますか。腸管とCFの滑りを良くすることが、腸管の短縮に必要な事です。
3 腸管の緊張をとる薬を使用していますか。ブスコパン等の使用は、腸管内の空気の移動を容易にして、腸管短縮に役立ちます。また、腸管の伸展に伴う患者さんの痛みを軽くします。ただし、直線化挿入法では、腸管の自然な短縮のじゃまをしますので、注射のタイミングは送気する直前にして下さい。
4 患者さんの体位変換をしていますか。腹部の圧迫を必要とするのは、患者さんの体位変換をしないからです。サブマリン法を使用しなければならないのは、患者さんの体位変換をしないからです。肛門側の空気が進行方向に移動するのが、最も良い体位です。
5 「right−turn shortening」は、大腸を一端過伸展にした後の技術ですから、いわゆる困ったときのテクニックであり、過伸展を伴わない「hooking the fold」こそが、究極のテクニックであるという認識をもって下さい。
6 大腸を畳み込めるポイントは、すごく狭い範囲にあり、ゆっくり操作しないと通り過ぎてしまいます。操作が早すぎて、その狭いポイントを通り過ぎてしまうとうまくいかない事を理解しましょう。
7 S状結腸と横行結腸は、どちらも腸管膜を持ち比較的動きやすい部位ですが、最も大きな違いは、S状結腸は、どの方向へも比較的動きやすいのですが、横行結腸は、脊椎という壁が立ちはだかり、体の中心部が飛び出すような場所に位置するので、横行結腸の短縮には、脊椎骨をつかった、テコの原理が応用できます。
8 直腸・上行結腸・下行結腸は、腹膜に固定されているため、CFが直線化されていれば、単に押せば挿入できます。特に直腸の挿入は、テクニックは不要で、見える方向に押せばよいのです。