大腸ポリープ
−ポリープって何ですか−
ポリープは、大腸の管の表面がイボのように盛り上がった部分のことを言います。
ポリープの種類は、2つに分けられます。
癌化する可能性のあるもの 腺腫(adenoma)、過形成性ポリープの一部
癌化する可能性の少ないもの 過形成性ポリープ(hyperplastic polyp)
トピックス 過形成性ポリープから serrated adenoma に 移行し、大腸癌になる経路がわかってきています
大きいポリープには、一部に癌細胞があることもあります。また、ポリープ全体が癌細胞に変化していることもあります。
−大腸ポリープがあると何か問題がありますか−
大腸ポリープは、ほとんどが、腺腫と呼ばれる腫瘍です。このため、そのままにしていると、癌になることがわかっています。これを切除することにより、将来、大腸癌になることを予防する事ができます。このことは、欧米の統計で証明されています。
検査中の画面で見ただけで、腺腫か過形成性ポリープか癌細胞があるかなどを見分けるのは、難しく、切除したポリープを組織検査(顕微鏡による検査)して、最終判断をします。
−大腸ポリープはどうやってとるのですか−
皮膚のいぼをとるように、引きちぎってとります。しかし、大きいものは、引きちぎると、出血しますので、高周波電流を流した針金で根元を焼き切ってとります。
−大腸の検査ってとても痛いと聞きましたが−
私が検査をはじめた頃(約20年前)は、痛み止めがないとできない検査でした。しかも、痛み止めをしても苦しい検査でした。10年くらい前より、挿入法の技術革新とファイバースコープの改良で、徐々に楽な検査になってきました。
当クリニックで検査された患者さんは、痛み止めや鎮静剤を使用しない状態で検査を受けて、「胃カメラより楽でした」とほとんどの方が話されます。また、当院では、検査を受ける患者さんが了解するときは、検査の始めから終わりまで、家族の方が見学できる様にしています。痛み止めを使用する頻度は、1−2%です。
ただし、この技術は、まだ一般的ではありません。検査を受ける病院の状況(痛み止めや鎮静剤の使用頻度)を確認して検査を受けて下さい。
−大腸の検査で腸に穴があく事があると聞きましたが−
以前は時々あったようですが、検査法の技術革新とファイバースコープの改良で、現在では特殊な状況の患者さん(腹部放射線療法を受けた患者さんなど腸管が極端に弱い方)をのぞけば、まず考えられません。
ポリープ切除をすることにより、腸に穴があく事は、今でも時々あります。ポリープ切除は、手術ですから、大きいポリープの時は、ある程度さけられません。しかし、クリップ(傷を縫い合わせるホッチキスのような器具)の発達で、ほとんどなくなりました。
私は、20000例以上検査をし、5000個以上ポリープを切除していますが、検査で大腸に穴をあけたことは一度もありませんが、大きいポリープを切除したとき1例翌日に穿孔した症例があります。
−大腸ポリープをとるのに入院が必要ですか−
ポリープの大きさと切除面の広さで考えますが、クリップ(傷を縫い合わせるホッチキスのような器具)の発達で、ほとんど必要なくなりました。径が2cmを越えるものは、入院が必要となることもあります。
ただし、切除の後は、24時間安静、風呂に入らない、お酒を飲まない、1週間は節制する等の日常生活の制限はあります。
−どのくらいの間隔で大腸の検査を検査をすればよいのですか−
大腸の癌は進行が遅いので、3年に1回程度でよいとされていますが、ポリ−プをとった患者さんは、組織の結果で次の検査時期を決めます。
大腸癌がすべてポリープから発生するのではなく、傷のようなビランから発生する事もあり、ポリ−プが無いからと言って安心はできません。