−風邪は、どんな病気でしょうか−
それは、ウイルスという病原体が人の身体に入ってきて、熱・咳・鼻水・喉の痛みといった様々な症状を起こす病気の総称です。
−水疱瘡や麻疹とどう違うのですか−
ウイルスが起こすのは、みんな同じです。水疱瘡や麻疹は、皮膚に特徴的な発疹がでるので、風邪とはいわれません。あえて言うならば、皮膚の風邪でしょうか。
−下痢をしても風邪?−
風邪は、鼻水や咳や喉の痛みと言った症状を起こすのですが、ある種のウイルスは、下痢とか吐き気を起こします。ウイルス性の胃腸炎のことを、おなかの風邪という言い方をします。
−風邪は薬で治る?−
ウイルスを退治する薬は、2−3の特殊なウイルスについてはありますが、通常使用される風邪薬には、ウイルスを退治する成分は全く入っていません。このため、薬では風邪は治りません。
風邪は、切り傷が治るように、生命体の持つ自然治癒力で治るのです。
−どうして風邪薬を出すのでしょうか−
安静にして、食事と睡眠を十分とれば、免疫異常さえなければ、風邪は自然に治ります。
咳が出続けると、体力を消耗します。鼻水や熱は睡眠のじゃまをします。喉が痛いと食べられません。薬は、食事・睡眠・安静といった、風邪の治療に必要な条件を整えます。
薬を飲まなくても、免疫の作用でウイルスは、通常2−3日で退治されますが、インフルエンザのように、1週間近くかかるものもあります。
−解熱剤は必要でしょうか?−
基本的には、脳細胞や身体の細胞は、43度を越えなければ、壊れることはありません。また、38度程度の体温の方が、免疫力が高まります。
しかし、高熱で、夜も眠れないとか、食欲もなくつらい時は、解熱剤を使った方が、身体が楽になります。解熱剤は、風邪を治すのではなく、身体を楽にするために、使うのです。
一般に、子供は、脳の発熱中枢の未成熟のため、高熱がでやすく、1度くらいさし引いて考えた方が良いのです。すなわち、子供の40度は、大人の39度と考えればよいのです。熱があっても、元気であれば、頭を冷やし、安静にして、十分水分をとるだけで、特に何もする必要はありません。
お年の方は、逆に、病気であっても、熱が上がりにくく、熱よりも、身体の調子で判断した方が良い場合があります。
−抗生剤って何でしょう−
抗生剤あるいは抗生物質とは、バイ菌(細菌)を退治する薬です。ウイルスには効きません。
−抗生剤を風邪に使うのはどうしてですか?−
ウイルスが身体で暴れ回っていると、人の防衛能力の低下から、身体にいるバイ菌が、活動を始め、細菌性扁桃腺炎や細菌性気管支炎や細菌性副鼻腔炎などを起こし始めます。これが、風邪が長引く原因です。
バイ菌が活動してなければ、抗生物質は必要ないのです。しかし、バイ菌が活動している時は、抗生物質は、劇的に効きます。
バイ菌が活動を始めているのか、ウイルスが暴れているだけかの判断は、とても難しく、毎日診察するしかありません。
以下のような時は、バイ菌がいる事が多いので、抗生物質を使います。
1 扁桃腺に、膿がついている、2 鼻水に色が付いてきたのに良くなってこない、3 夜寝るときに、咳がひどくなってきた、4 痰に色が付いてきた、等です。
−ウイルスが悪さをすることは?−
まれに、脳炎・髄膜炎・肺炎・神経炎等に進んでいくことがあります。様子がおかしくないか、熱が下がれば元気かといったチェックが必要です。
−風邪にかからないためには?−
風邪にかかるのは、体力が落ちている時と大量にウイルスが入った時がほとんどです。子供同士のつきあいは、大人以上に濃厚で、唾が飛んだり、べたべたしたりです。すなわち、大量にウイルスがうつりやすいのが特徴です。
過労をさけ、手洗い・うがいが大切です。
−マスクは有効ですか?−
無いよりはましですが、効果はあまり期待できません。医療用の微粒子まで取り除くマスクでなければ、だめでしょう。スタイルを気にしなければ、ガーゼを7−8枚重ねると、かなり有効です。
マスクには、感染防止より、むしろ、喉や気管を乾燥させない効果が期待できます。喉や気管が乾燥すると、バイ菌が活動しやすくなります。
以上風邪特集でした。